2025年の夏、日本の働き方が大きく変わります。6月から、企業に対して罰則付きの熱中症対策が義務化され、特に建設業界では待ったなしの対策強化と意識改革が求められています。
職場での熱中症による死亡者(2005年~2024年)のうち、実に44%が建設業で発生。この深刻な事態を打開し、担い手不足に歯止めをかけるためにも、現場の環境改善は急務です。
今回は、この新しい義務化時代に対応する、企業の画期的な熱中症対策の最前線をご紹介します!
■ 現場を丸ごと冷やす!大林組の「涼人」プロジェクト
「ビルが完成する前に、ビル全体を冷房してしまおう!」
そんな驚きの発想を実現したのが、大林組の「建設現場『涼人』プロジェクト」です。
建設中のビルは、外壁ができると風が通らず熱がこもり、熱中症リスクが急上昇します。そこで、完成した空調ダクトに大型の仮設クーラーを接続。フロア全体に冷房を効かせ、涼しく快適な作業環境を作り出すという、国内初の試みが始まりました。
コストは当面大林組が負担しますが、今後は施主にも協力を仰ぎ、超高層ビルなどへの展開も視野に入れています。
■ 着るテクノロジー!大東建託の「ペルチェ式ベスト」
現場で本当に求められるのは「動きやすさ」と「軽さ」。大東建託は、現場監督の声をもとに、昭和商会とオリジナルの冷感ベストを共同開発しました。
半導体技術を応用: 冷蔵庫などにも使われる「ペルチェ素子」を脇の部分に搭載。直接体を冷やします。
ファンとの融合: 腰の小型ファンと組み合わせることで、冷却効果を最大化。
現場本位の設計: 従来の製品では「重ね着で作業しにくい」という声が多かったため、ベストとファンを一体化し、動きやすさを追求しました。
他にもソニーが開発した首掛けエアコン「REON POKET」など、体を直接冷やすウェアラブルデバイスは、今や夏の現場の必須アイテムとなりつつあります。
■ 建設会社が作った大ヒット商品!三和建設の「しおゼリー」
熱中症対策の最終兵器は、なんと「おいしいゼリー」。大阪の三和建設が開発した**「ゼネコンがつくったしおゼリー」は、累計400万本を売り上げる大ヒット商品**となっています。
飽きないおいしさ: ぶどう、りんごなど5種類のフレーバーで、毎日でも食べ続けられる。
手軽さ: 持ち運びやすいスティック状で、冷凍して現場に持っていける。
次の展開も: 2026年以降には、現場で働く女性をターゲットに、日焼け防止に役立つ栄養素を入れたゼリーも開発中です。
まとめ:必要は発明の母
酷暑という厳しい課題に直面する建設業界だからこそ、知恵を絞り、様々な画期的な対策が生まれています。
9月に入っても残暑が続きますが、夏の疲労が溜まるこの時期こそ油断は禁物です。最新の対策を参考にしつつ、生活リズムを整え、残暑を乗り切っていきましょう。
(9月は「全国労働衛生週間」の準備期間でもあります。皆様、ご安全に!)