当社では【YouTubeチャンネル】にて、当社が請負う仕事内容を動画にて紹介しています。
ご依頼いただく際のご参考に、また建設業界未経験の方でも、業界に興味をお持ちいただけるような魅力を伝えていきたいと思っております。
その【YouTubeチャンネル】のショート動画に、スリーブ工事における【結束線】と【かぶり厚さ】についてコメントをいただきましたので、この場を借りて『当社の見解』をご説明いたします。
これから説明するにあたり、内容はあくまで『当社の見解』であり、現場の仕様やルール等にて規定がある場合は、その規定にしたがうようお願いいたします。
また、「その説明、間違っているよ」などのご意見があれば、是非当社へご連絡いただければと思います。
今回いただいたコメントを要約すると、「スリーブ材を固定する際に結束線を巻き付けて固定する方法は、「かぶり厚さ」の観点から駄目なのでは?」というご意見でした。
動画では【メッキ結束線】を使用しています。メッキ結束線は【電気亜鉛メッキ加工】がされています。俗に言う「亜鉛メッキ」と呼ばれるものです。この亜鉛メッキは非常に強い防錆能力を持っています。
亜鉛メッキには「溶け出し錆びる」という性質があり、錆びることによって水酸化亜鉛の被膜ができるため、腐食の進行を遅らせます。これを「犠牲防食作用」といいます。
また、鉄と違い、錆びても膨張しないという性質もあります。スリーブ材の固定に同じ亜鉛メッキ加工された「全ネジ」が使用されたり、スライドスリーブ等の素材に「亜鉛鉄板」が使用されているのも同様の理由です。
ここで改めて、建築躯体工事における【かぶり厚さ】について説明します。
建築躯体工事にて【かぶり厚さ】を確保する理由は、鉄が空気や水に触れて酸化し「サビ」が発生することを防ぐためです。鉄は酸化すると膨張する性質を持っています。
鉄筋コンクリート構造は、コンクリートがアルカリ性のため【かぶり厚さ】が確保できていれば、理論上では中の鉄筋は酸化せずに耐久性を維持できるのですが、空気に触れているコンクリートの表面から中性化、
酸化が進み、時間の経過とともに中の鉄筋も酸化して錆びてしまいます。
その際の鉄筋の酸化膨張によってコンクリートに亀裂・割れが生じる恐れがあります。これを「爆裂現象」といいます。
【かぶり厚さ】は、建て替えまでの耐久年数を考慮して設定寸法が決められています。
以上の理由により、亜鉛メッキ製の結束線や全ネジ、スリーブ材は【かぶり厚さ】の規定から除外されていることが多く、スリーブ材の固定に使用しても構造的に問題ないと解釈することが一般的です。
冒頭にも記載しましたが、この内容はあくまで『当社の見解』であり、現場の仕様やルール等にて規定がある場合は、その規定にしたがうようお願いいたします。
今後も現場のことで「気になる点」がございましたら、是非当社へご連絡いただければと思います。
参考資料①【爆裂現象】
参考資料②「ショート動画」