私は『品質管理課(旧技術課)』に所属しており、業務で様々な現場に行く機会があります。現場パトロールはもちろんのこと、作業員OJTや品質改善指導での現場常駐などもおこなっています。”指導”という立場で、たくさんの作業員さんと共に仕事をしてきたのですが、その際には熟練作業員さんと一緒になることもあり、逆に教わることも多くあります。(感謝しています♪)
今回は、私が見た、教わったものの中で強く印象に残ったものを紹介したいと思います。

当社の職種は『多能工』という、幅広いジャンルの作業をおこなっております。熟練作業員さんの多くは作業の効率向上を図るため、多種多様な『オリジナル工具』を自分たちで開発・作成して業務をこなしています。既製の工具を改良したもの、様々なパーツをかけ合わせた独自工具、現場に普段あるものに一工夫加えただけの即興工具などがあり、中には『商品化できるのでは?』と、思えるくらい素晴らしいものも多くあります。

代表的なものとしては、当社は『スリーブ工事』を多く請負っていますが、その際に梁配筋の中のスリーブを釘にて固定します。配筋が密集していて狭く、ハンマーを振るスペースが少ないため、思うように”力”が入らず、梁スリーブの固定作業は時間と労力がかかります。その苦労を解消するために、熟練作業員さんは様々な”工夫”をおこなっています。
①:ハンマーの柄や本体を削り、”振りしろ”を確保するために小型化する。
②:梁配筋の中ハンマーを振らなくても良いように独自の長い釘打器を作成する。

また、スリーブ工事にて『墨出し作業』をおこなう際にも一工夫しています。スリーブの墨出しは寸法を測り芯を出し、円や四角を描きます。その際に実際のスリーブ材の輪切りを型の様に当て円を描くことが一般的でしたが、最近では『かぶり厚』分の円も描くことが主流で、スリーブ材の輪切りだけでは対応できない場合が多くあります。それに対応する”工夫”もおこなっています。
①:コンパスにマーカーを取付けるよう細工する。
②:定規状の細い板などに軸穴を開け、それを基準に円の半径とかぶり厚位置を測り穴を開けた『円描き定規』を作り、軸穴に釘や千枚通しを刺して半径円とかぶり厚円を描く。

私の経験則での意見ですが、自分で道具・工具を作って現場で試す過程は結構楽しいものです。実際に現場で使ってみて、不具合箇所を修正し改良することでより実用的にしていく。またそれを自社の仲間や他職の職人さんに『すごいね、それ。』って言われるとうれしくなります。

建設業は最新技術が続々開発されており、どんどん進化しています。しかし、実際に仕事していく中で本当に必要なのは、熟練作業員さんの『ちょっとした工夫』の継承なのかもしれません。
当社では、熟練の技術や工夫などの継承ができる環境・職場作りにも注力しています。

 

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